技術コラム1> 技術コラム2> 技術コラム3> ウォーム歯車の強度計算ソフト> またぎ歯厚公差とオーバーピン寸法の公差計算方法> デモソフトのページ>

NEW ウォーム技術コラム「第八回」を追加しました。

新発売 2段減速トロコイド歯車減速機の設計製作支援ソフト

新発売 トロコイド歯車の工具歯形設計支援ソフト

新発売 またぎ歯厚公差・オーバーピン寸法公差計算及び歯車要目表のDXF出力機能付「**_DesignA」シリーズを新発売。

ウォーム歯車の技術コラム1

カムと歯車のソフトウェアのホームページを作成するに当たり、長年開発・設計に携わってきたウォーム歯車に関して経験したことや、技術的な事柄を 起業当時暇つぶしに掲載してみたところ意外に多くの方が読まれて、本ページを紹介してリンクを張っていただいたりしていることを 知りうれしく思いました。今回、ホームページをリニューアルするに当たり少し文章を見直し、画像も追加いたしました。

第一回 ウォ-ムの効率の常識

昔から、平歯車やハスバ歯車とウォ−ム歯車の効率を比較した言い方に、 「平歯車やハスバ歯車は、コロガリだから効率が良く、ウォ−ム歯車は、滑り接触だから効率が悪い」と言われています。 これは少し言い方が間違っていると思います。特に滑り接触だから効率が悪いという言い方はどうかと考えます。あえて言うなら、 「滑りの悪いウォ−ム歯車は効率が悪い」と言うべきでしょう。何故なら滑りの良いウォ-ムは経験上非常に効率が良いからであります。
では滑りの良し悪しとは何を意味するのか?。右の欄は、ウォ−ム歯車の効率の計算式です。この計算式をみると効率は摩擦角に支配 されていることが分かります。摩擦角はさらに摩擦係数に支配されていますので、摩擦係数が小さければ滑りがよく効率が良いといえます。 ・・ということで「滑りの良いウォ−ム歯車は効率が良い」と言う事になります。

【ウォーム歯車の効率を求める式】

η=tanγ/tan(γ+ρ)

η:効率

γ:ウォ−ムの進み角

ρ:摩擦角

ここで、

ρ=tan-1(μ)

μ:摩擦係数

上の式で摩擦係数μを限りなく小さくすれば、効率ηは限りなく100%に近づきます。

※ウォームとウォームホイールの歯面をつるつるにすることです。

第二回 セルフロックの常識

セルフロックという言葉は、ウォ−ム減速機以外あまり使われない言葉で、この意味するところ(定義とでも言うか)は、

「機械的又は電気的なブレ−キ機構がない状態において,出力側(この場合ウォ−ムホィ−ルの側)から入力軸(ウォ-ム軸) を回転することができない状態にある」ことを言う。

で、ウォ−ム減速機の全てがセルフロックできる訳ではない。一部の仕様を 満足したものだけがセルフロックすることができる。そのまえに何でセルフロックが必要かというと、定義のところでブレ−キ機構 を減速機の使用環境の中で使うことができない場合や、吊物いわゆるウインチなどで降下の時の加速制限効果などや止めた状態を ブレ−キ無しで保持したい・・・など色々ある。
 ところで、ウォ−ムのセルフロックとは結構いい加減?・・確実なセルフロックはないと言われる。 その理由は、第一回で記載したウォ−ムの効率の式にある。

【セルフロックが効く状態とは】

出力軸(ウォームホィール)からウォームを回す時の伝達効率を計算する次式に、

η=tan(γ-ρ)/tanγ において

γ≦ρ の場合、

効率ηは0か負になるためウォ−ムホィ−ルからウォ−ムを回転することができない。

これがセルフロックの理論である。

で、なんで確実でないかというとこの式の中に摩擦が関与するからである。

実際にセルフロック仕様で設計したものをある程度の範囲で製作することはできるが、 ウオ−ムは使用しているうちになじんで摩擦係数が変化したり、あるいは回転速度によって噛み合い歯面の滑り速度が変化すると 摩擦係数も変化する。・・ということでなかなか確実なセルフロックというのはありえない。が他の減速機にないウォ−ム減速機の 最大の特徴でもある。

以上 次回に続く

第三回 セルフロックの境界

セルフロックの効く境界はどこにあるのか考えてみる、又確実に効くところがあるのか。前回記載したように、 理論的にセルフロックするのは、γ≦ρ の場合である。ウォ−ムの進み角γより摩擦角ρが大きくなったときである。 で摩擦角は、

ρ=tan-1(μ)

で求められる。μは摩擦係数である。動的(ウォ−ムが動いているとき)には 特定しにくいが、静止しているときにはBS規格、経験値などから一定の条件の下に求めることができる。 (摩擦係数表は下段右枠内参照。)

BS規格(イギリス)では、

μ=0.135

をとる。ただし、ウォ−ムは肌焼入れ後研削したもので、ウォ−ムホィ−ルは りん青銅という組み合わせの時である。この値を前出の式に代入すると、

ρ=tan-1(0.135)=7.688゜

これより小さい進み角のウォ−ムを設計すればセルフロックは効くことになる。 ただし、ウォ−ムを使っていると歯面のなじみが進み摩擦係数がこれより小さくなる。 このためにメ−カ−によってセルフロックの設計仕様が異なる。例えば、なじみを考慮してμ=0.1で設計すると、

ρ=tan-1(0.1)=5.710゜

になる。

摩擦係数を知ることができれば境界を計算できると考える、 摩擦係数は効率測定して前出の式から逆算することができる。 ただし、どのように設計しても不確定な要素を含んでいるのでメ-カ-から保障されるものではない。 一般的にセルフロックの効果のある減速比は1/40、1/50、1/60であるが、効率の良いウォ−ムでは、1/50,1/60ぐらいになる。 最近では舞台装置、ホ−ムエレベ−タなど吊物関係では、あまりセルフロックの効果を期待されない。 それよりもむしろ効率を要求される、特に起動効率・・・・。  ウォ−ムの特色を生かした設計がされないのは少しさびしい気がするがこれも時代の流れか、残るはカム、インデックスの駆動源 としてのみか・・・

次回は、ウォ−ムの起動効率

第四回 動かない減速機

舞台装置の吊物用に設計した減速機が動かないという。見に行って調べてみても問題はなかった。設計内容を聞いてみるとどうもインバ−タの容量不足である事がわかった。どういう計算をしていたのか見せてもらうと、必要動力を計算するときに減速機のランニング効率を用いていたことが判った。平歯車やハスバ歯車では、ランニング効率と起動効率の差はそれほど大きくないが、ウォ−ム減速機の場合は、ランニング効率に対して起動効率は半分ぐらいになる。このためにインバ−タなど起動トルクが小さい動力源を使用する場合、ランニング効率で計算すると動かないことになる。 要するに、効率が半分になるから起動トルクが倍以上かあるいは容量の大きいの動力源を用いる必要があった。 ちなみにウォ−ム減速機の起動効率の計算は、

η=tanγ/tan(γ+ρ) の式において、摩擦角を

ρ=tan-1(0.135)=7.688゜

にとって計算すればよい。これは回転数(滑り速度)="0"のときの摩擦係数0.135の値を とって計算している。静的効率ともいうが、起動効率とほとんどイコ−ルである。

さて原因は判ったがその対策は大変であった。インバ−タの方は変更できないから ウォ−ムで何とかしてくれということになった。プロジェクトXの世界になった。

当時高性能歯形のウォ−ムを開発していたので、まずその歯車諸元で再設計した。 それに加えウォ−ムに鏡面加工を施し、さらに歯当りを最初から60%以上出すために新品のホブを二日間研ぎ続けた。その結果、 ウォ−ム減速機は動き始めた。

次回は、”最強の歯形