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ウォーム歯車の技術コラム2

カムと歯車のソフトウェアのホームページを作成するに当たり、長年開発・設計に携わってきたウォーム歯車に関して経験したことや、技術的な事柄を 起業当時暇つぶしに掲載してみたところ意外に多くの方が読まれて、本ページを紹介してリンクを張っていただいたりしていることを 知りうれしく思いました。今回、ホームページをリニューアルするに当たり少し文章を見直し、画像も追加いたしました。

第五回 最強の歯形−その1

 歯形の話の前にウォ−ム歯車の形態の分類と性能について考えてみる。 ウォ−ム歯車は、大きく分けると円筒形と鼓形に分けることができるがさらに詳細に分けると下図のようになる。ウォ−ムの形状が 円筒か鼓形かで円筒ウォ-ム、鼓形ウォ-ムと呼んでいるのが慣例である。
 一般的に、円筒ウォ-ムより鼓形ウォ-ムの方が性能がはるかに高いと言うのが常識である。しかし、同じ鼓形と呼ぶ図2と図4では 性能が大きく違うことをご存知だろうか。また、図1の円筒ウォ−ムより図4の鼓形ウォ-ムの性能が一部の能力を除いては同等以下 であることを知る人は少ない。
 今回は、それぞれのウォ-ムの特徴と性能の比較についてお話しする。ただし、図3はほとんど使用例がないので省略する。

図1 円筒ウォ-ムと鼓形ホィ−ル 図2 鼓形ウォ-ムと鼓形ホィ-ル 図3 円筒ウォ-ムと円筒ホィ−ル 図4 鼓形ウォ-ムと円筒ホィ−ル

 図1の円筒ウォ-ムと図2のの鼓形ウォ−ムについて比較して見ると、鼓形は 噛み合い率及び歯面の相対曲率半径が大きいので伝達トルクが一般的な円筒ウォ-ムの2倍から4倍程度ある。又、同時接触線が滑り 方向に対して立っているので歯面の潤滑性がよく効率が良いとされている。理論的にはそうであるが、円筒ウォ-ムを鏡面加工した ものと比べるとほとんど差は無い。
 また、起動効率においては円筒ウォ-ムの方が効率が良い。鼓形のウイ−クポイントである。理由は単純で、ウォ-ム軸の径が端部で 大きくなるため進み角γが小さくなりその結果摩擦係数が同じであれば効率が低くなる、このために起動するためのモ-タが大きくなり コスト高となる。
 次に、図4の鼓形ウォ−ムの特徴であるが、このウォ-ムは図1の円筒ウォ-ムを丁度ひっくり返したものであることが図からわかる。 円筒ウォ−ムを円筒ホィ−ルとし、鼓形ホィ-ルを鼓形ウォ-ムに置き換えたものである。なぜこのような形にしているのかは、製作性 の問題とだけしておく。
 このウォ-ムは噛み合い率は多いが、歯当り面積が極端に小さく接触圧が大きくなるので伝達能力は、円筒ウォ-ムに比べて同等か あるいは低い。特に高速回転ではよくない。起動効率も悪いがランニング効率も低い。ただし、低速回転やセルフロックを要求される 用途には向いている。又、噛み合い率が高いので静的な強度が円筒ウォ-ムに比べて優れている。
 以上に述べたように、全ての面で鼓形ウォ-ムが優れているわけではない。鼓形の性能を出すには、鼓形ウォ-ムと同形のボブを製作 して創成歯切りを行う必要がある。(舞ツ−ルなどで歯切りされた鼓形ホィ−ルでは歯当りが小さく能力が低い)そして、この工具の 製作が困難であるのと同時に工具寿命が短いため非常にコストが高くなる。このような難しいウォ−ムよりも製作性の良い円筒ウォ-ム の能力を上げることを考えれば良いのではないか。

次回は、"最強の歯形−その2"

第六回 最強の歯形−その2

円筒ウォ−ムの歯形としては、5種類ほどある。その中で現在実際に使われているのは、JIS3形(台形)、JIS4形 (インボリュ−トヘリコイド)、ニ−マン歯形(凹形)である。性能比較では、

3形<4形<ニ−マン歯形

とされているが、3形と4形はさほど差が無く、材料・潤滑油などで逆転する場合もある。ニ−マン歯形は、凹形のウォ−ムの歯形と 凸形のホィ−ルの歯形が噛み合うため、面圧応力が小さくなり伝達トルクを大きくできる。3形、4形に比べ1.5から2倍近く伝達 トルクを高くとることができる。また潤滑性も良好なため効率も良いとされている。ただ、大きくプラス転位(1モジュ−ル)されて いるため噛み合い率が前者のウォ−ムよりも小さくなる欠点がある。現在のところ円筒ウォ−ムの中では、最強の歯形である。しかし、 製作性の問題から価格が高く(鼓形より少し安い)、高級品であまり一般的には使われていない。最近では、ウォ−ムホィ−ルの材料に 耐摩耗材料を使用したり、PAG系の高性能合成潤滑油を使用することで3形歯形ウォ−ムでも従来の1.5倍の伝達トルクを実現でき るようになっているのでそれほど差がなくなってきた。ただ、ニ−マン歯形のウォ−ムもこの材料と潤滑油を使用すればその差は縮まら ない。
  W/N歯車という歯車がある。W/Nというのはウイルドハ−バとノビコフという人の名前である。いづれの人も円弧歯形の歯車を 提案したり、開発実用化した。この歯形は、ヘリカルギヤなどに使われている。歯形の歯末が凸、歯元が凹の円弧歯形である。当然負荷 能力は高くなる。このような歯形をウォ−ムに適用した場合どうなるのか・・・・・。当然ニ−マン歯形のように負荷能力は高くなる。 また、ニ−マンのように転位しなければ噛合い率が大きくなるためニ−マンより高い能力が期待できる。問題は、製作性とコストである。

次回は、この歯形の詳細と試作結果について

第七回 最強の歯形−その3

 右図は、サイクロイド曲線を基準ピッチラインにおいて結合して作成したウォ−ムの基準ラック歯形である。この歯形を工具歯形として ホィ−ルを創成すると凹と凸の噛合いになり非常に大きなトルクを伝達できる。しかしながらラックの基準ピッチ点で圧力角が0になる ためウォ−ムホィ−ルを創成すると歯形干渉が起こり出口側の歯先部が創成されない。この歯形干渉への対策として、サイクロイドの 回転が20゜のところで上下の歯形を結合することでこの問題を解決することができた。

実際に、下記の諸元で試作した。

心    間: 100mm

モジュ−ル: 5.4、4.1

減 速 比: 1/10、1/40

負荷テスト

入力回転数: 1800rpm

出力トルク: 97〜120kgf・m

効率

起動効率    :1/10で72% ,1/40で45%

ランニング効率 :1/10で94% ,1/40で87%

無負荷騒音 :40〜50db

一般的に高性能と言われるウォ−ムに比べても非常に性能が高いという結果であった。 出力トルクでは、同サイズの鼓形ウォ−ムとほぼ同等である、効率では上回っている。

 問題は、製作性であるが、ウォ−ムを研削するNCのネジ研削盤と同歯形を持つ ホブ以外は台形歯形のウォ−ムを製作するのとそれほど違いは無い。最近では、ウォ−ムのネジ研削盤はほとんどNC化されているので、 歯形の専用ソフトを導入すれば製作するのは困難ではない。歯筋クラウニングも台形歯形と同じ方法を適用できる。台形歯形の製作性と 鼓形に勝るとも劣らない性能を持つ歯形、これこそ最強の歯形であると考える。

第八回 汎用ウォームの歯形の問題

 一般的に使われているウォームの歯形はV形歯形がほとんどであるが、ではこのウォームと噛み合うウォームホィールの歯形は V形歯形であろうか?
ウォームホィールの歯形は、ホブの歯形によって決まるのでほとんどの場合、圧力角20゜のラック歯形であることからT形歯形になる。 ウォームはV形でホィールはT形のかみ合わせとなる。V形歯形のウォームは、下図のように円錐形状のカッター又は砥石で仕上げられる為、 歯先や歯元で砥石の加工干渉により直線歯形とはならない。
1条ウォームでは、その影響はほとんどない。20゜のラック歯形である。2条ウォームでは、モジュールや進み角、砥石径にもよるが 0.03〜0.05mm程度の干渉で歯が丸くなるが、この量が歯形修正となりちょうど都合がよい。問題は、3条以上のウォームである。進み角が 18゜以上になるとモジュールや砥石径にもよるが干渉量が一桁アップする。この為ウォームホィールとの歯形のかい離が大きくなり歯形方向 の歯当たりが非常に小さくなる。これは、発熱・騒音・振動の原因ともなる。

 又、問題はこれだけではない。ウォームホィールの加工コストには、ウォームホブのコストが責める比率が高い。このため、ホブに増径量を付ける ことは知られている。この増径量を多く付ければ、ホブが長持ちしてホィールのコストが安くなるが、径の大きなホブで歯切りされたホィールの 歯筋方向の歯当たりは増径量の大きさに反比例して小さくなる。1〜2条ではそれほどではないが、3条になると非常に大きくなじみ運転をしなければ ならなくなる。